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「SESいらない」は本当か?元SESエージェントが語る、見えない価値の話

SkillSheet-Port編集部
SkillSheet-Port編集部
2026-03-136分で読める

「SESなんて中間搾取でしょ」 「何もしてないのにマージン取ってるだけ」 「エージェントいらない。自分で案件探す方がいい」

エンジニアの間で、こういう声はよく聞く。SNSでもSES批判は定番コンテンツだ。

正直に言う。自分もSESの仕事を始める前は、同じようなイメージを持っていた。

でも実際にSESエージェントとして3年間、約500人のエンジニアに向き合ってきて、考えが変わった。SESに問題があるのは事実だ。でも「いらない」かと聞かれたら、答えはNoだ。

今日はその理由を、エージェント側の裏側も含めて正直に話す。


SES批判の「正しい部分」は認める

まず最初に、SES批判の正当な部分は認めておきたい。

多重下請け構造。商流が深くなるほどエンジニアの手元に届く金額が減る。間に入る会社が何もしていないのにマージンだけ取っている。こういう構造は実際に存在するし、業界の悪しき慣習だ。

成約したら放置するエージェント。案件を紹介して終わり。現場で何が起きてもフォローしない。これも事実として多い。こちらの記事でも書いたが、ダメなエージェントはごまんといる。

だから「SESいらない」と言いたくなる気持ちはわかる。自分だって、そういうエージェントや仲介会社を見て「これは価値がないな」と思ったことがある。

・・・だが、

**「ダメなSESが多い」ことと「SES自体がいらない」は、まったく別の話だ。**混ぜるな、危険。


エージェントの仕事は「案件紹介」だけじゃない

「エージェントって、案件情報を右から左に流すだけでしょ?」

こう思っている人が多い。
しかし、実際に裏側でやっていることを知ったら、印象が変わるかもしれない。

自分がエージェントとしてやっていた仕事を、ざっと並べてみる。

案件に入る前。 エンジニアのスキルと希望を丁寧にヒアリングして、合いそうな案件を探す。スキルシートを案件に合わせて調整する。面談対策をする。条件交渉をする。企業側にもエンジニアの魅力を伝えてプッシュする。

案件に入ってから。 現場での状況を定期的にヒアリングする。困りごとがあれば企業側と調整する。人間関係のトラブルがあれば間に入る。稼働時間の問題があれば契約条件を交渉し直す。

契約まわり。 契約書の確認、条件変更の交渉、更新の調整、万が一のトラブル時の法的な対応窓口。

キャリア支援。 次の案件の方向性を一緒に考える。単価アップのタイミングを見計らう。市場動向を踏まえたスキルチェンジの提案。

これ、全部を自分一人でやれるだろうか?


フリーランスこそ「一人でやる怖さ」を知ってほしい

特にフリーランスの人に聞きたい。

案件先の開拓、営業、面談、条件交渉、契約書の確認、トラブル対応、単価交渉。これを全部一人でやっている人は、本当にすごいと思う。

でも、多くのフリーランスエンジニアは「技術はできるけど、契約や交渉は苦手」だと正直に言う。

たとえば、こんな場面を想像してみてほしい。

現場でトラブルが起きた。契約内容と実際の業務が乖離している。でも自分から企業に「契約と違いますよね?」と言い出すのは気まずい。我慢してそのまま働き続けるか、黙って契約終了を待つか。

単価を上げたい。でも自分から「単価上げてください」と直接クライアントに言うのは、関係性を壊しそうで怖い。結局、今の金額で据え置き。

契約書の条件に不利な項目がある。でも法務の知識がないから何が問題かわからない。そのままサインしてしまう。

こういう場面で間に立ってくれるのが、エージェントだ。

エージェントは「エンジニアの代わりに面倒ごとを引き受ける存在」でもある。その価値は、平常時には見えにくい。でもトラブルが起きたときに、いるかいないかで状況がまったく変わる。


「いらない」のではなく「見えていない」だけ

ここが今日いちばん伝えたいポイントだ。

SESやエージェントに「価値がない」と感じるのは、多くの場合価値が見えていないだけだ。

うまく機能しているエージェントほど、エンジニアからは「何もしていないように見える」。なぜなら、問題が起きる前に裏で対処しているからだ。

企業側との関係調整、契約条件の微修正、現場の空気のモニタリング。こういう地味な仕事は表に出ない。エンジニアが快適に現場で仕事できている状態を維持すること自体が、エージェントの仕事だからだ。

逆に、トラブルが頻発するとき初めて「エージェントがいてくれてよかった」と感じる。でもそれは、防げていたはずのトラブルが防げなかったということでもある。

本当に優秀なエージェントの仕事は、何も起きない状態を維持すること。だから価値が見えにくい。


だからこそ「巻き込む」意識が大事

ここまで読んで「たしかに、全部一人でやるのはキツいかも」と思った人に伝えたい。

エージェントは敵じゃない。巻き込んで、仲間にするものだ。

中間搾取だと思って距離を置くのか、パートナーとして信頼関係を築くのか。この選択で、キャリアの安定感はまったく変わる。

具体的にどう巻き込むか。

自分の状況をオープンに共有する。 現場の不満、キャリアの悩み、単価への不満。溜め込まずにエージェントに話す。情報がなければ、エージェントは動きようがない。

エージェントにも要望を伝える。 「もっと連絡してほしい」「次の案件はこういう方向がいい」。言わなければ伝わらない。

長期的な関係として捉える。 1案件ごとの付き合いではなく、3年、5年のキャリア単位で付き合える関係を目指す。

ただし、ひとつ正直に言っておく。

こうやって熱意を持ってエンジニアに向き合っているエージェントは、少数派だ。残念ながら、案件情報を右から左に流すだけの量産型営業マンの方が圧倒的に多い。だからこそ、「SESいらない」と思われてしまう面もあるのだと思う。

でも裏を返せば、熱意のあるエージェントに出会えたら、それはものすごく貴重なことだ。あなたのキャリアを本気で考えてくれるマネージャーは、この業界には確かに存在する。数は少ないけど、いる。

だからこそ、良いエージェントをしっかり選ぶこと。出会うための行動を取ること。これ自体が、キャリア戦略のひとつだと思ってほしい。

良いエージェントの選び方については、以前書いた記事で詳しく触れている。

▷ 関連記事:[案件選びより大事なこと。エージェント選びで変わるエンジニアのキャリア]


それでも「SESいらない」と思うなら

最後にもうひとつだけ。

それでも「自分にはエージェントいらない」と思うなら、少なくとも自分のキャリアを自分で管理する準備はしておくべきだ。

エージェントなしで活動するということは、案件探し、条件交渉、契約管理、トラブル対応、スキルシートの整備。全部を自分で回すということ。

特にスキルシートは、エージェントがいなければ自分で作って、自分で更新して、自分で管理する必要がある。エージェントを使わない選択をするなら、なおさら「自分専用のスキルシート管理基盤」は持っておいた方がいい。

Skillsheet-Port は、フォーム入力で体裁が統一されるスキルシート作成サービスだ。匿名共有やワンクリック再出力にも対応している。エージェントに頼るにしても頼らないにしても、自分のキャリアの記録を自分で持っておく。これだけは間違いなく大事だ。

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SESがいらないかどうかは、人それぞれだと思う。

でも「いらない」と決めつける前に、見えていない価値がないか。一度立ち止まって考えてみてほしい。そして自分の周りにいるエージェントが、もし信頼できる人なら、距離を置くのではなく巻き込んでほしい。

味方は多い方がいい。特にフリーランスという戦い方を選んだなら。

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